インドの秘境と呼ばれる北東インド(ノースイースト・インディア)をご紹介。地理や文化、この地域の旅行者の受け入れなどに関してどんな所か分かりやすくまとめた。北東インド旅行がおすすめなのはどんな人かもご紹介。
”ザ・インド”という日本人の持つイメージとは別の趣を持つインドのもう一つの顔”秘境北東インド”。
この記事を読めば北東インドのアウトラインが分かる。
北東インドの地理
本土(メインランド)からは北東部に位置するので北東インド(ノースイースト・インディア:North East India)と呼ばれている。
東はミャンマー、西はバングラデシュ、北は中国とブータンに囲まれた逆三角形の形をしたインド6地域の一つ。
国土には標高2000m~3000mの山が多く、北にはヒマラヤ連峰が連なっている。
自然が豊かで数多くの国立公園がある。美しい山々や風光明媚な場所で人々は暮らしている。
人口の近い日本の関東地方と比較してみた。国土面積は日本の本州と四国を足したくらい。
関東地方(東京都・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県)の人が日本の本州と四国全体に広がって住んでいるイメージ。なので人口密度は低い。
北東インド | 関東地方(日本) | |
人口 | 4,400万人 | 4,350万人 |
面積 | 262,200 km² | 32,424km2 |
人口密度 | 168人/km2 | 1,342人/km2 |
アッサム、ナガランド、メガラヤ、マニプール、ミゾラム、トリプラ、アルナーチャル・プラデーシュという7つの州に分けられている。この7つの州を総称して「セブンシスターズ(Seven Sisters)」と呼ばれてきた。
さらに2002年に東インドに分類されていたシッキム州が北東インドに含まれるようになった。
インド北東部8州 | 州都 |
Assam (アッサム) | Tezpur (テズプル ) |
Nagaland (ナガランド) | Kohima (コヒマ) |
Meghalaya (メガラヤ) | Shillong (シロン) |
Manipur (マニプール) | Imphal (インパール) |
Mizoram (ミゾラム) | Aizawl (アイゾール) |
Tripura (トリプラ) | Agartala (アガルタラ) |
Arunachal Pradesh (アルナーチャル・プラデーシュ) | Itanagar (イタナガル) |
Sikkim (シッキム) | Darjeeling (ダージリン) |
南はバングラデシュとミャンマーの国境が囲むように広がっているため、意外にも北東インドには海が無い。
マニプール州を紹介した記事はこちら↓
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ちなみに日本でもお茶の銘柄で有名なダージリンやアッサムティーはこの北東インド地方で生産されている茶葉のこと。
北東インド 外国人の入域制限
インド北東部のみならずインドの一部地域では外国人の入域制限がある。以下はインド北東部の入域制限情報。
入域制限のある地域 | アルナチャル・プラデシュ州全域,シッキム州の一部,シッキム州の西ベンガル州との州境地域 |
入境後24時間以内の外国人登録 | マニプール,ナガランド,ミゾラム各州 |
これまで北東インドは国防&治安の面から一般の外国人旅行者が簡単には行けない場所だった。入域の際には必ず当局の入域許可が必要だった。
2010年にようやくマニプール,ナガランド,ミゾラム州は入域時の入域許可は不要になった。
ただし今でもマニプールに入域する外国人はすべて入域時に登録が求められている。詳細はこちら(英語)
一般の外国人がこの地に旅行で訪れることができるようになったのは実はここ数年の話。
北東インドの背景
北東インドは古くから非常に多くの部族が住んでいる。現在も100以上の民族がいると言われている。
1963-1975年の間に何度も国土の編成が進み今の形になった。
インドといえばカースト制が有名だが、北東インドの人々はカーストの階級に属さない。
もともと住んでいる人のほとんどはアジア系。なので日本人がいてもほとんど目立たない。
シロンやアッサム、マニプールの一部の人々はインド本土から移ってきたアーリア系(ザ・インド人)という顔立ち。
言語-共通語は英語とヒンディー語-
インド北東部に住む人たちは自分の部族の言語を持っている。そのため今も数百の言語が使われている。しかもそれは多少の訛りや方言というレベルではない。
隣の町まで車を少し走らせたらもう自分の言語は通じなくなってしまう。まるで外国のよう。単一民族単一言語の日本人としては考えにくい状況。
そこで最近では英語を話す話者が若い人を中心に増えてきている。しかも北東インドの人が話す英語は日本人にも聞き取りやすい。
もしくは少し上の世代になるとヒンディー語を話せる人も多い。
マニプール州とインパールではやはりマニプリ語が主流。
北東インドに旅行に行く際は英語を少し話せるとずいぶんと旅が楽しくなる。
北東インドの発展
北東インドの経済基盤、インフラは今まさに整備が進められている。メインランドに比べて中央政府による開発が遅れてきたという背景がある。
ここ数年、インド政府の推し進める「ルック・イースト政策」によって道路整備、水道や電気などのインフラが急速に進んできた。
今後は3つの国際空港に加えて多くの飛行場、鉄道、インドを東西に結ぶ大動脈陸路「東西回廊」の終点が建設される計画。
これらのインフラ整備により、外国人旅行者にとって北東インドは今後一層アクセスしやすくなる。
北東インドの治安
北東インドでインド軍を町でみて怖かったと言っていた日本人のバックパッカーがいた。
日本の治安と比べればどこの国でも危険、怖いと感じると思う。
ただし筆者がこの地で旅行している限りでは、怖い経験をしたことはまだ一度も無い。
北東インドは最近では落ち着いたものの、地方の部族によるインドからの独立を目指す動きがある。そのため北東インドの一部では今も治安維持のためにインド軍が多く駐在している。
日中は比較的安全かも、ポイントは夜遅くまで外を歩かないこと。
北東インド 環境
北東インドの環境を一言で言えば綺麗(インパール市内は埃っぽい)。人々は自然豊かな土地の中で日々の暮らしを営んでいる、人口は少なくインド本土からも離れているため大気汚染の影響を受けずに済んでいる。
「インドの大気汚染が心配。。。」という方も北東インドでは安心して旅行が楽しめる。
北東インド まとめ
今回は北東インドについて分かりやすくまとめてみた。
- インドとは違う文化背景を持つ。インドのもう一つの顔
- 多民族、多言語地域でいろんな文化に触れることができる
- 最近外国人が旅行できるようになった、今後アクセスも良くなる
- 風光明媚な未開の美しい場所が多く残っている
北東インドはこんな人におすすめ、、、
- 観光地化されてないローカルありのままの姿が見たいという方
- いろんな民族文化に触れてみたいという方
- インドの有名どころに行き飽きてしまった方
- インド本土の喧騒や大気汚染が苦手な方
まだほとんどの旅行者が知らない未開の地、秘境北東インド。新たな新境地を切り開くなら今がおすすめ。